ある女の記録③
あれから色んな時があった。
ヨウにゴキブリ料理がどれだけ尊いか語ったり。
ジャンプの素晴らしさを語ったり。
推しcpについて語ったり。
・・・あれ?こう考えると私は語ってばっかりだな。
まぁそんなこんなが過ぎて、私は20歳になった。
・・・それにしても最近・・・てかヨウを拾ってから結城おじさんを見ないな。
彼の教えてくれるゴキブリレシピはとても絶品なんだけど・・・
色々と忙しいのかなぁ。
・・・今日もすっかり終わろうとしている。
窓から外を見上げて見ると月が家を照らしていた。
綺麗な月だなぁ。
今日はヨウの帰りも遅いし猫用入り口の鍵を開けておかないと。
さーて今日もいい一日だったな・・・・・・
・・・・・・?
突然お腹に違和感が起きる。
気づいた時には・・・
私のお腹から背中からナイフが生えていた
「・・・ハァッ!?・・・グ・・・」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
お腹から激しい熱さと痛みが私を襲う。
その痛みによって私はバタンと床に倒れた
「はぁ・・・はぁ・・・」
息が上手くできない・・・!!
「・・・はは、ようやく気づいたか」
「・・・!?」
その言葉に気づいて私は背後を向く。
私の目には銀髪で赤目の6歳ぐらいの少年が映っていた。
この子は・・・白山・・・!?
何で今・・・!?
「・・・あぁ、お前は今俺が白山家の奴らの指示でお前を殺しに来たとでも思ってるのか?・・・残念ながらそれは違う」
「ガッ・・・!!」
そう言ってその少年はナイフを引き抜き倒れた私の傷口を踏みつける。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
「・・・さて、まさかまぁあの白山がこんな所で暮らしているとは思わなかったが・・・だがまぁ返って好都合だ」
「何なのあなたは!?一体何が目的で・・・!?」
「・・・あぁ、俺がお前を殺す理由か?そうだな・・・」
少年は当たり前かのように口を開く。
「お前が普通に暮らしていたからだな」
・・・・・・え?
「俺は色々あって普通の暮らしをするのが難しくてな、だというのに白山の血を引いてる奴が平然と普通の暮らしをしているのにイラっと来て・・・な!」
「・・・!お゛げぇ゛え゛え゛え゛!!!」
そうすると少年は倒れている私を正面に倒してお腹を思いっきり蹴り上げた。
込み上げた胃液が鼻に回って更に息苦しくなり口の中から吐瀉物が出てくる。
こんな・・・こんな理由で私殺されそうになってるの・・・?
こんな身勝手な理由で・・・私は・・・
「・・・・・・あぁそうそう、だがまぁお前を助けてやっても構わない」
「・・・え?」
思いがけない言葉が私にかけられる。
「・・・ここで暮らしてる奴は、他にもいるだろう?そいつを今俺に教えればお前をどうするか考えてやらん事もないぞ?」
「・・・なっ!?」
つまり・・・ヨウをこいつに売れって事!?
「まぁ考えるまでも無いだろう?そいつを俺に教えるだけだ、さて・・・俺は気が短い、なるべく早く頼むぞ」
「・・・!!」
少年は倒れている私の髪を引っ張って無理矢理私を自分の顔と向かい合わせる。
・・・・・・あぁ、そうだね、考えるまでも無いよ。
私の言葉はただ一つ
「うるせぇ・・・ばーか・・・!」
「・・・」
「そうか」
※※※
それにしても驚いた、まさか庇うとはな
やはり自分に家や戸籍を提供した恩か?
まぁどの道目の前で拷問して殺してやった後あの女も殺してやる気だったが。
さて・・・とっとと逃げるとするか
目の前の家中に散らばる死体を後に俺は家を出た。
※※※
意識が微睡み何もかもが曖昧になる。
・・・私はどうなったんだろう。
そんな中、目の前に映る物がある。
・・・何が起きているか分からないかのようにこちらを見るヨウ。
・・・あぁ、よかった
彼は無事だったんだ。
それなら・・・きっと、大丈夫。
彼なら・・・きっと誰かを思って誰かの為に動ける子になれる。
だからこれでいい。
ここで私がいなくなっても私は死なない。
あぁ・・・でも
彼の人生がどうか・・・幸せな
(ここで記録は途切れている)